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現在の国の頂点が自分自身と言うことに、いい加減実感も湧いている。第十三代目国王、リオウ・ファミーユ。千人以下の中の一人、貴重な純血の人間王様。
側近の魔族達は毎日俺に困っているらしいが、それはこちらの台詞だ。二十六歳にもなってどうして鳥族、牛族、竜族の侍女に着替えさせられたり風呂で身体を洗われたりせにゃならん。ただ人間様に触りたいだけって下心がダダ漏れなんだよちょっとは隠しやがれ。
それに、なにより困っているのが――
「はぁ……つっかれたー……」
寝間着に着替える体力もなく、バスローブ一枚でベッドに倒れ込む。この格好のまま寝るのはいいにしても、髪くらいは乾かしたい。でも起き上がりたくはない。
「陛下、こちら旦那様と奥様からのお葉書と世間日報でございます」
先程追いかけっこをし合った側近アサクラはまだまだ余裕の表情だ。魔族の体力は魔物譲りとはいったものだが、今の容姿はどこからどう見ても普通の人間なため恨めしさが倍増する。まるで俺が体力のない軟弱者みたいだ。
「相変わらずラブラブなお二人だこった」
「ファミーユ一周旅行に旅立たれて早くも一年ですか。仲の良さそうなお写真付き葉書が頻繁に送られてきますが、陛下もそろそろご両親にお会いしたくなってきたのでは?」
「逆だな。あのラブラブ夫婦の間に入り込むなんて勘弁願いたい。無駄な体力を消耗するだけだ」
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