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今回は海辺で互いに腰を引き寄せ合い、片手を広げて「イエーイ!」のポーズ。息子以外の者が見ることを分かっていて恥じらいもなく載せているのだと思うと頭が痛い。嫌でも目に入り、運ばされる郵便屋には同情する。
「んでこっちは……世の中平和だな本当に」
世間日報にはファミーユで起こった事件や出来事が記載されるが、平和すぎてネタがないのか一番目に付く一面には「ファミーユ生物! 飼いたい癒やしのペットランキング!」と書かれている。
一位は人間様(少年)。
二位は人間様(少女)。
三位は人間様(赤子)。
四位は人間様――以下略。
「人間様ばっかりだな」
「八位以降に精霊や獣人も入っておりますよ。ハーブの精霊は癒やしの香りをくれますし、獣人は耳が可愛らしいですからね。我々魔族は残念ながら圏外です」
動物は強い。アニマルセラピーを求める気持ちは分かるが、このランキングにインした種族は果たして嬉しいのだろうか。少なくとも「五位、人間様(青年)」を見て喜ばしい気持ちにはなれなかった。
「『人間様』って称えるなら『ペット』とか『飼いたい』とか言うなって、王として注意出来ねーのが悔しい……」
絶滅危惧種となっている人間は城で保護されている。欲しいものも食べたいものも好きなだけ与えられ、やりたいことは危険でなければ自由にやらせてもらえる。広くて豪華な部屋に、綺麗なドレスやタキシード。一切不自由のないリゾート暮らし。これを「飼われている」という以外に何と言うか。
「なに?」
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