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ベット近くにある小さなリフレッシュテーブル。その上にドサリと音を立てて何かが置かれ、身体を少しだけ起こしてみる。白いアルバムらしきものの山に目を細めた。
「陛下ももう二十六。今年で二十七になるのです。いい加減身を固めてくださいませ」
「断る」
「王族は結婚から逃れられない運命だということをご存じですか? 選ぶ権利があるだけ幸せだとお思いください」
「いつの時代だそれは。別に王位は世襲制じゃないんだ、子供がいなくたって問題ない。選ぶ権利があるのなら俺は独身の道を選ぶね」
結婚なんて面倒だ。それも王妃の座が目当てなだけの愛のない結婚。そんなものに価値があるとは思えない。
考えが合わない側近は我慢が出来なくなったのか、震わせていた拳を罪のないリフレッシュテーブルに叩きつけた。
「例え世継ぎが必要なくとも人間様は絶滅の危機に陥っているのです! 人間様同士のご結婚は殆ど義務づけられている現状。陛下だけ独身を貫くことをゆるしては民に示しがつきません!」
「俺はそんな義務を付けた覚えはない」
人の意思を無視した義務があってたまるか。おそらく他種族達による無言の圧力で生まれただけの嘘義務だ。無視して好きに恋愛しろ人間達。ねずみ、牛、トラ、竜……相手は人間以外にも沢山いる。
「恋愛の自由を最後まで許し続けた結果、犬様、猫様、ウサギ様が絶滅したのをお忘れですか!? 少子高齢化が進んでいる今、このままですと人間様も本当に絶滅します!」
「それもいいんじゃないか」
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