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第1話プロローグ
【プロローグ】
俺、高谷克己26歳、大学を卒業し、今の会社に勤めて4年目。
経理本部財務部に所属しており、毎日残業の嵐。
今の会社は、はっきり言ってブラック。
同期入社で残っているのは本社、全国の支社を合わせてもほんの数人、ほとんどは既に辞めている。
本当は俺も辞めようと考えていたんだけど、皆が転職活動で休む時に、頼まれて代わりに仕事をしていたせいで自分の転職活動もまともにできないまま、他の皆がどんどん辞めていき気づけば周りには・・・本社は俺1人だけが残ってしまった。
この会社では入社当初から、自殺者、大量のうつによる休職者、現場でのセクハラ、パワハラ、バイトのやっちゃいけない動画のアップ―――が毎年のようにあり、訴訟問題で訴えられることが多々あり厚労省のブラックリストにも載った。
一時期、新聞やテレビでも問題になり会社の存続にも影響があった。
ついに労基の立ち入りも。
これで良くなると思ったが、実際は……
会長と社長、担当役員がテレビの記者会見で頭を下げ、第3者委員会を立ち上げ、監視体制を作る事に。
それに加えてコンプラ委員会を社長直轄独立組織として、さらに労働管理室を新たに設け、厳重に労務管理をすると発表した。
がしかし、実際は会長と社長の子飼が組織メンバーで、労働管理室は閑職の行き先だった。
そのうち、テレビで評判になってる作家が司会をしている番組で、一代でこれだけの会社を立ち上げたカリスマ会長として出演し、いいことばかりのサクセスストーリーが放映、会長は一躍有名人に、そして世間から すごい!と絶賛の声。
時の人となって、いつのまにかブラックの話はうやむやになり、消えていった。
そんな会社だから、労働環境はいっこうに改善されず新入社員はどんどん辞めるし、女子社員は、一応1部上場企業なので、他の優良企業の優良男性と合コンをしまくって彼氏をつくり、そして定時退社で有給の使いまくり。
最後は、めでたく結婚と同時に寿退社。
当然自分の会社の男性社員は目にもくれない。
そりゃあそうだ、こんなブラック企業の社員なんか恋人になってもまともにデートする時間もない。
まして結婚なんかしても、給料は安いし、プライベートなんて楽しめないのは目に見えてる。
大量の新卒が入社して、ほぼ同じだけの人数が退職するから、2-3年も務めていれば、当然多くの仕事が俺に集まってくる。
どんどん深みにハマって・・・・・
大学3年で誰よりも早く上場企業に内定しインターンも楽しく、職場には若い女性社員が多く、その女性社員たちはしっかり休みもとって、彼氏と旅行に行ったとか、婚約したとか、とても明るい職場だと思ったけど、それは……そういう事だった。
入社してそれに気づいたにもかかわらず、優柔不断な俺は、結局何もせずダラダラとこの会社にいる。
クリスマスイブというのに・・・・・・今日もいつも通り残業・・・・・・
俺みたいな1人者や家にいても何もない人なんかが残っている。
彼氏彼女がいる人や家族持ちは皆ほぼ定時で帰ってしまい、頼まれ仕事が山積み。
そういう俺は2年前は、彼女に振られて(別れて)から寂しい1人者
・・‥‥だったけど‥‥‥。
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