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「何とかの糸」の説明
「ちょっと待てよ、俺の話を聞いてほしい!」
久遠は低い声で、天音の腕をつかみ、強制的に座らせた。
「本当はあのもみじの木の下で、言うつもりだったんだ。
結婚について・・・」
天音の心臓が跳ねて、腕に力が入った。
が、久遠に手首をつかまれて、固まった状態だった。
「君と出会ったのは、運命だと思う。
日本語で「何とかの糸」っていうよね。」
赤い糸・・・
天音はつぶやいた。
久遠は、天音の手首をそっと放して、膝の上で両手の指を組んだ。
「本当はあの旅館の査定は、
近藤の仕事だったんだ。
でも、近藤の娘が熱を出して、
無理って言ってきて・・」
天音は少し驚いて、聞いてしまった。
「近藤さんって、お子さんがいるんですか?」
あの、クールで仕事のできそうな近藤が、既婚者だったとは・・・
久遠は天音の顔を見て、微笑んだ。
「3才と5才の女の子がいて、
すごくかわいいんだ。
溺愛しているよ。
暇があればスマホの待ち受け
見て、二ヤついているし・・」
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