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それから少しうつむいて、両手を見つめていた。
「俺は確かに、色々な女の子と付き合って来た。
遊んできた。
でも日本人の女の子とは、付き合おうとは思わなかった。」
空が暗くなり始めて、駐車場の
街路灯の明かりが点いた。
久遠も天音も、
視線を交わす事もなく、正面の
施設の建物を見ていた。
施設の職員が、窓のカーテンを閉めていく様子が見える。
ようやく久遠が口を開いた。
「むしろ、避けていた。思い出してしまうから・・封印していた。
母親の事があったから」
久遠が小さなため息をついた。
「もう、10年以上、前の話だけど・・・
母親は病気で・・末期がんだった。
でも、母親は「俺には、病気の事を絶対に言うな」って
口止めを強く親父にしていたんだ。」
久遠は自虐的な調子で、続けた。
「俺は、そんなこと全然知らなかったから、能天気に遊びまくっていた。
親父から電話があっても、無視してさ。
やっと、電話に出た時は、
母親が亡くなったという知らせだった。」
しばらくの沈黙・・・
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