後日談のはじまり

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「ええーーー、なんで、もう帰っちゃうのぉ!」 久遠が叫んだが、天音はそれを無視して、 バックを抱えて、脱兎のごとく部屋を走り抜けた。 滑り込んだエレベーターの中で、腕組みをして考える。 いいのか?いいのか? 本当にいいのか? 相手は、大きなホテルグループの御曹司で、金持ちで、しかも外国人だぞ。 セフレもいて、美形で、年下で・・・ 福袋開けたら、びっくりたまげた商品がはいっていた・・ という感じではないか。 天音には、シンデレラ願望はないし、 そもそも、身分不相応の相手とつきあっても、破たんする話もよく聞く。 玉の輿は、その後の生活が、大変そうだ。 価値観の違いとか、家庭環境とか・・・ 好きな食べ物とか、経済感覚とか・・ その昔 天音は、20代後半にお見合いをした事があった。 男性はいい人だったが、その男性の母親が、難色を示した。 天音が、旅館の一人娘だという事。 先行(さきいき)、自分の息子が、婿養子として、 取られるのではないかと、心配したらしい。 そして破談になった。 男の方が「ご縁がなかった事にしたい」と、断ってきたのだ。
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