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向こうから、犬の散歩なのか、レトリバーを連れて、
中学生くらいの女の子が歩いてくる。
大型わんこ・・・茶色でモフモフで、かわいい。
尻尾をブンブン振って、地面をひっかいている。
何か、気になる物を、見つけたのか。
女の子が必死にリードを引っ張るが、犬は、探索をやめようとしない。
しばらくすると、犬は飽きたのか、プイと顔を上げると、
困っている飼い主を、見上げた。
大きく尻尾を振って、女の子の顔をベロベロになめて、じゃれついた。
「だめでしょ・・!」
女の子は制止するが、わんこの勢いに負けている。
でも、うれしそうで、かわいがっている様子が、よくわかった。
天音はなんともなしに、その光景を見て、笑みが出た。
そこで、駅に向かうバスが来た。
バスに乗り込み、
発進する振動で、脳天に、単語(フレーズ)が直撃した。
<頭を冷やせ>
恋愛ごっこをする年齢ではない。
ドキドキ、ときめく年齢ではないのだ。
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