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「来週来るね。女将さん」
母親に声をかけると、
「お気をつけて、お帰りください」
と、返事をしてくれた。
天音は、苦笑した。
私は、常連客なのだな・・・
そう思いながら、玄関から出た。
その時だった。
「天音ちゃん、迎えにきたよ」
久遠が手を振って、施設の駐車場から、歩いて来た。
今回は、ボロボロの浮浪者風ではなく、
ブルーのワイシャツに紺ブレザー、白のボトムという、
爽やか路線のリゾートセレブの
服装だ。
そう、あの大型わんこのように、尻尾フリフリではないが・・・
満面の笑みをたたえてハグする
態勢で、心持ち両手を広げた。
「さっき、退院して、そのまま
ここに来たんだ。」
久遠のキラキラ笑顔とは対照的に、天音は戸惑いを隠せない。
胸が痛むような・・・違和感、
うずく感じがする。
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