土曜日の出来事

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決着をつける時は、今しかないのだ。 天音は、深呼吸して言った。 「高原久遠さん、 ちゃんと、お話しをしなくてはいけませんよね」 あえて、フルネームで呼びかける。 久遠は血統書付きのレトリバー、それも、黒のモフモフの大型の わんこだ。 久遠は少し首をかしげて 「話って・・?あの契約は、成立だよね」 自分はこの大型わんこの飼い主(主人)に、なるのか、なれないのか。 わんこの意向を、再確認しなくてはいけない。 ビジネスとラブアフェアを、混同させるのはよくない。 この歳で、痛い思いはしたくない。 天音は素早く視線をそらすと、 駐車場の植え込みの端に、 ベンチがあるのに気が付いた。 そばには、目を引く四輪駆動の 高級外車が止まっている。 久遠のものだろう。 天音はその外車の前を通り過ぎて、ベンチに座った。 それから、久遠に座るよう手で 促した。 久遠が隣に座ると、天音は口を開いた。 「現実問題として、旅館の経営には初期費用が、相当かかります」
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