Secret×Secretive

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 最終下校時刻は夕方六時。生徒はあと十五分以内に門の外に出ないとペナルティーが言い渡される。安全のため、暗くなる前に帰らせようと学校側が工夫したもの。早朝の掃除かトイレ掃除、どちらに決まるかは言われるまで分からない。ペナルティーを言い渡す先生の気分で決まってしまう以上、早起きが苦手で絶対に避けたい早朝掃除を命令される可能性は二分の一だ。  けれど、それは生徒自らが下校時刻のルールを破った場合。破りたくないのに破らされた場合、生徒側が怒られる筋合いはない。  つまり、これ以上の面談を続けるのは教師であるこの人のルール違反。それを分かっているからこそ、目の前の先生は頭を抱えながら大きくため息を吐いたのだろう。今日最後の面談とはいえ、のんびりしすぎ。いや、話しすぎ。  他の女子生徒であれば、親が心配して学校に電話をかけてきたかもしれないと、考えるべき。冬の夕方なんて夜と同じ空なのだから。 「そろそろ帰りましょうか」 「ああ……この話は――」  また明日。もしくは、また今度。普通の教師なら、こう言う。 「また後で」  この人は私にとって、普通じゃないから。  普通じゃないから、そう言わない。 「はい。また後で」  私も、言わない。  私とこの人は、普通の教師と普通の生徒ではないから。  さようなら、また明日の挨拶はしない。  また後で。  また――後で。  また―― 「一緒に帰るか?」
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