2,生徒

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 私は、先生の考えていることが分かっていた。  先生の感情も、私には分かっていた。  実体化して、先生から自立した私には、新たに蓄積された先生の感情は分からない。 「時間がゆっくり流れてくれれば、ユウと少しでも長く一緒にいられる」 「いつも一緒でした」 「そうだな、一緒だった。あの頃と比べれば、むしろ離れた。気持ち的には今の方が近く感じるんだ」  ただ、姿が見えるか見えないかの違い。  目に見える存在というのは、人間にとって大きいもの。先生は、目に見える私の方が良いということだろう。  理想でなくなっても構わないくらい。それほどの価値が、果たして今の私にあるのだろうか。 「矛盾しています」  私は、先生を僅かに不快にさせる言葉を投げてみた。 「先生はどうして『先生』と呼んで欲しいのですか?」  私は、私に「先生」と呼ばせる理由を、先生に聞いてみた。 「『先生』呼びは気持ち的に遠くしてしまうものだと思います」  先生が小さい頃、私は先生のことを「ソウ君」と呼んでいた。『先生』と呼ぶようになったのは、彼が以前の現実で、教師となってから。  いくら職業が教師でも、ゲーム中はただの青年。運営者であり、今となっては理事長室から眺める身なのだから、どちらかというと理事長という方がしっくりくる。『先生』と呼ぶことは、現実をプライペートに持ち込んでいるような雰囲気もあり、プラスを感じられない。
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