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「授業料です。残り僅かな資金で少しでも授業料を上げましょう」
授業料は生徒の数だけ支払われる。一つの教科だけ千円上げたとしよう。生徒が百人いれば十万円も多く徴収出来る。十万円だけとも言えるが、それが五教科となれば五十万円。運営したての貧しい財布には救いの資金だ。
授業料は授業のレベルを上げることで自動的に上がる仕組みになっている。授業レベルを上げるには、雇用している教師のレベルを上げるのともう一つ、難易度の高いテストを生徒に受けさせ、一定の合格ラインをとらせること。
「いずれも資金が削られることに変わりはありませんが、教師のレベル上げは今はやめておきましょう。一人のレベルを上げたところで大した結果は得られません」
「となると、テストか……。大体一教科用意させるのに樋口から諭吉は消える。現実的には安すぎるものだが痛いな。失敗が許されない」
「そうです、絶対に失敗は許されません。なので確実に合格してもらうために――」
「優秀な生徒にテストを受けさせる、だろ?」
中間考査や期末考査とは違う、授業レベルのアップという学校の裏事情により行われるテストは全校生徒に受けさせるものではない。
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