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修学旅行もなしに卒業する三年生……可哀想に。
この人は自分が修学旅行に行きたくない人間だから、修学旅行が重要なものだとは考えもしていないのだろう。相手の気持ちになって考えることが出来ない人ではないのに、そのようなことを口に出すということは、ただの言い訳の一つとして使用しているだけの可能性もある。
だけどその場合、修学旅行を開催する意思があるということ。今城先生からそんな様子はさほども感じられない。今城先生の中で、修学旅行をいうものは必要不可欠どころかなるべく開催してあげたいと思わない、優先順位の最下層に位置づけられているのだろう。
その考えを覆してあげたいところだけど、計画を立てる時間がそんなに無いのも事実。今日は特に何も反論せず、私は先生に選択を求めた。
「自分で書いておいてなんですが、百人一首祭は冬休み後の方がよろしいかと。短期で用意出来る者に絞って、体育大会か合唱コンクール、映画鑑賞会あたりはどうでしょうか?」
「体育祭は短期で準備出来るか?」
「体育大会です、先生。走って跳んで投げて蹴って打つだけなら準備は白線と道具を出すくらいで済みますよ。日差しを我慢させるのが可哀想だと思うならテントの設置も追加で」
「えらく適当だ。そんな規模の体育祭は却下だ、ユウくん」
「これでも今城先生が小学生だった頃の運動会を参考にしたんです。体育大会ですよ、先生」
「運動会と体育祭を一緒にしてはいけない。参考にするなら高校時代の体育祭にしなさい」
「ですから体育祭ではなく体育大会です。今城先生の経験は体育祭で正解です。あの頃の体育祭の規模は小中学のときとは比べものになりませんでしたね。まさか競技場を貸し切るとは、驚き桃の木でした」
「お金だけは無駄にある学校だったからな。日陰の観客席から優雅にくつろげて、快適だった。競技への参加もサボったところでお咎めなし、そもそも気付かれたかどうかも分からない」
「でも私は……小学校の頃の運動会が一番楽しかったです」
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