5,友達

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 私が褒めても、今城先生は喜ばないだろう。彼は自身を苦しめる教師という職業を決して好きではない。  これを前の現実にいる彼の知人の人達が聞けば、こう言う。  ならどうして教師になったの? どうして教師をやってるの?  答えは簡単。今城先生が凡人だから。  行きたい学校に進んだ人は沢山いても、なりたい職業に就けた人なんてほんの一握り。大半の人は、片っ端から面接を受けて、内定を貰えた中から一番良い……言い換えれば、マシだと思ったところを一つ選ぶ。  マシだと思った職業に就くことを選択する。  今城先生もそうだ。一番マシだと思ったのが教師で、働いてもいいと思った私立の学校に就職した。それだけ。  だから決して、教師という仕事が好きなわけではない。 「つくづくロクなところじゃないな、学校は。生徒の功績を自分のものにして、功績だけのために生徒を導かせるとんでもない場所だ。彼らの結果が不利益になると思ったら、彼らの希望を曲げさせる。そんなことを自分がさせていると思うと、反吐が出る。もっとも――」  今城先生は眉間に皺を寄せた。 「何よりも反吐が出るのは、それを分かっていて同じように行ってしまう自分自身だ」  運営ゲームが好きで、前の現実でも何度も同じような場面を繰り返した。あの頃はこんな風に自己嫌悪に陥ることなくプレイしていたのに、今は違うのは、現実でなかったものが現実になってしまっているから。  ――時折、考えてしまう。 「今城先生は、この世界が楽しいですか?」
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