2,生徒

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2  以前の今城先生は、ベッドの上で、寝転がって操作をしていた。私は先生の頭の中から、画面の向こうにいる生徒達の光景を眺めていた。  今、先生は起きている。  校内の一部、理事長室の椅子に座って、非常に鮮明な画質の監視カメラを眺めている。  この画面があの頃の画面と言っても大差はない。だから私は疑問でしかない。 「どうして生徒達はこんなに歩くのが遅いのでしょう。気になりませんか、先生」  ――別に。  彼の返答など、わざわざ聞かなくても分かる。その答えがより不可解だった。先生がプレイしてきた学校運営ゲームの生徒達は、皆凄まじいスピードで歩き、一日を一分とかからずに終えていた。  この遅さが理解し難い。授業を一時間以上も行う意味が分からない。何故、生徒達は学校で十時間近くも過ごすのだろう。ここは前の現実のノンフィクションではないと、言えるものなら言いたい。動きが遅い分、こちらの観察につまらなさが加わってしまう。座学の授業中がまさしくそれだ。 「体育の授業時間を増やしてみても変化なし。体育教師を入れ替えてみても変わりません。他に原因があるのだとすれば、今すぐ改善すべきです」 「必要ない。何もおかしなこともないよ、ユウ。彼らの足も、この時間も……これが限界だからさ」  人間としての先輩、先生が私に教えてくれる。こういうとき、どちらがガイドとしての立場だろうか。
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