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「か、葛西さん、荷物自分で持ちますよ。」
私は葛西さんの横を歩きながら声を掛けた。
「いい、それは。それよりいきなり呼び捨てはマズかったか?ごめん、俺昔から距離感がおかしいって言われることがあるから。」
葛西さんは赤い顔のまま言った。
「いえ、全然…大丈夫です…」
私も赤い顔のまま言った。
「俺のことは名前で呼べばいいから。」
「…響さん、でいいですか?」
「いいよ、呼び捨てで。前も言ったけど
多分俺とみお、歳はそう大して変わらねえよ。」
「え、で、でも呼び捨ては…えっと…なら…響くん?」
葛西さんは、歩くのを止めた。
そして私の顔を見た。
「…響…くん…?」
葛西さんはそう呟いて、また少し顔が赤くなったがすぐに元に戻った。そしてまた歩き出した。
「…それでいい。それで呼んで。」
「はい、わかりました。」
「敬語もいい。」
「わ、わかったよ。…響くん。」
私が返事をすると、響くんはこっちを見て少し微笑んだ。
私はまた、彼のその顔にドキッとしてしまった。
病院を出てから響くんはタクシーを呼んだ。
タクシーに乗り込んで運転手に行き先を告げた後、響くんは私に言った。
「みお、これから俺と一緒に○○島に行くけど大丈夫?」
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