彼の決意

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「教員宿舎を出る…?」 「ああ。実は俺ずっと気になっていたんだ。教員宿舎は公の施設だし、そこに俺が入り浸ってるのはほんとは良くねえなって。」 「え、響くんもしかして学校にバレちゃったの?」 「いや、それは大丈夫だよ。宿舎は奥まったそれも高台の場所にあるからまずバレねえ。あそこには住んでいる人しか近寄らねえよ。」 三木さんも、黙ってくれてるっぽいしね。 「だから格安なのは勿体ねえけど、みおが教員宿舎を出て、他の処を借りて一緒に住む方がいいと思うんだ。」 「えっ響くん、家を出るつもりなの?」 「ああ。」 「で、でもお母さんがみえるじゃない。」 「お袋は…まだ、そこまで歳じゃねえし、それに姉貴も傍にいるから大丈夫だよ。俺も島を出るワケじゃねえからな。」 「で、でも私、響くんの親戚って体だけど…」 「だから島でもちょっと離れた処に借りた方がいいとは思ってる。みおが俺の親戚だって知ってる人もそこまでいねえけど一応な。野球部の奴らなら、実は親戚じゃないって言ったら察して分かってくれそうだけどな。」 「そ、そうなんだ。」 私は響くんを見つめて言った。 「響くん、どうしてそこまでして一緒に住んでくれるの?」 「そりゃあ、みおが寂しがりやだからだろ。」 響くんはニヤッと笑って言った。 「えっそれが理由?」 響くんの顔が真顔になった。 「俺…みおとずっと一緒にいられる方法を考えてたんだ。記憶が戻っても俺は、みおと離れたくないから。」 「私は…記憶は戻りたくない。響くんとずっと一緒にいたいよ。」 「それは俺もそうだけど、でもみおの記憶が戻らないままなのはやっぱり良くねえよ。」 響くんは真剣な顔で私を見つめて言った。 「みお、記憶が戻っても俺のことを好きでいてくれたら、一緒になろう。」
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