137人が本棚に入れています
本棚に追加
「教員宿舎を出る…?」
「ああ。実は俺ずっと気になっていたんだ。教員宿舎は公の施設だし、そこに俺が入り浸ってるのはほんとは良くねえなって。」
「え、響くんもしかして学校にバレちゃったの?」
「いや、それは大丈夫だよ。宿舎は奥まったそれも高台の場所にあるからまずバレねえ。あそこには住んでいる人しか近寄らねえよ。」
三木さんも、黙ってくれてるっぽいしね。
「だから格安なのは勿体ねえけど、みおが教員宿舎を出て、他の処を借りて一緒に住む方がいいと思うんだ。」
「えっ響くん、家を出るつもりなの?」
「ああ。」
「で、でもお母さんがみえるじゃない。」
「お袋は…まだ、そこまで歳じゃねえし、それに姉貴も傍にいるから大丈夫だよ。俺も島を出るワケじゃねえからな。」
「で、でも私、響くんの親戚って体だけど…」
「だから島でもちょっと離れた処に借りた方がいいとは思ってる。みおが俺の親戚だって知ってる人もそこまでいねえけど一応な。野球部の奴らなら、実は親戚じゃないって言ったら察して分かってくれそうだけどな。」
「そ、そうなんだ。」
私は響くんを見つめて言った。
「響くん、どうしてそこまでして一緒に住んでくれるの?」
「そりゃあ、みおが寂しがりやだからだろ。」
響くんはニヤッと笑って言った。
「えっそれが理由?」
響くんの顔が真顔になった。
「俺…みおとずっと一緒にいられる方法を考えてたんだ。記憶が戻っても俺は、みおと離れたくないから。」
「私は…記憶は戻りたくない。響くんとずっと一緒にいたいよ。」
「それは俺もそうだけど、でもみおの記憶が戻らないままなのはやっぱり良くねえよ。」
響くんは真剣な顔で私を見つめて言った。
「みお、記憶が戻っても俺のことを好きでいてくれたら、一緒になろう。」
最初のコメントを投稿しよう!