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「それって…け、結婚するってこと?」
私は茫然としながら言った。
「まだ指輪も何もねえけどな。」
響くんは照れ臭そうに言った。
私は涙が頬を伝った。
「み、みお!?」
響くんが慌てた。
「ち、違うの。嬉しいの。響くんがそこまで私のこと想ってくれてるって知って…」
響くんは私の涙を指で拭うと微笑んで言った。
「俺、みおを愛してるよ。」
「響くん…どうして私のことそこまで…」
「みお、まだ言うのか?」
響くんは苦笑して言った。
「みおだって俺のことすげえ想ってくれてるじゃん。俺、女のコにそこまで想われたことねえよ。」
響くんは私の頬を愛しそうに撫でた。
「みおは俺が見つけて俺が助けたコなんだ。記憶喪失だって分かった時から、大切にして守ってやらねえとって思ってた。
そうしたらみおも俺のことを好きになってくれて、今じゃ俺がいないと泣きそうになるぐらい、求めるようになっただろ?すげえ幸せだよ。」
「響くん…」
響くんは私を抱き寄せて言った。
「俺…夢があってさ…島で俺が先生やってて、みおは島のピアノの先生なんだ。仕事が終わって二人の家に帰ってくるとみおが出迎えてくれてさ。
それで夕飯を食べながら今日あったことを話すんだ。みおは笑顔で話を聞いてくれて、俺もみおの話を聞いて笑顔になるんだよ。その後は毎晩抱き合って寝るんだ…
休みには時々島の観光地に遊びに行ったり、たまには内地に出かけたりもしてさ。もし嫌なことがあっても二人で楽しく過ごして、笑顔や元気に変えていくんだ…そんな風にみおと暮らせたらどんなに幸せかと思う。」
「響くん…私もそれができたら幸せだよ。」
私が響くんを見つめて言うと、彼は切実な顔をして言った。
「みお…もし記憶が戻っても俺を拒絶しないでくれ。俺、前も言ったけど嫌な予感がするんだ。思い出したらみおが何処かに行ってしまいそうで…」
「響くん…私はずっとあなたの傍にいたい…」
響くんは私がそう言うと、泣きそうな顔でキスをし始めた。私はまたキスをしながら涙が流れてしまったのだった…。
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