彼の決意

3/3
前へ
/276ページ
次へ
「それって…け、結婚するってこと?」 私は茫然としながら言った。 「まだ指輪も何もねえけどな。」 響くんは照れ臭そうに言った。 私は涙が頬を伝った。 「み、みお!?」 響くんが慌てた。 「ち、違うの。嬉しいの。響くんがそこまで私のこと想ってくれてるって知って…」 響くんは私の涙を指で拭うと微笑んで言った。 「俺、みおを愛してるよ。」 「響くん…どうして私のことそこまで…」 「みお、まだ言うのか?」 響くんは苦笑して言った。 「みおだって俺のことすげえ想ってくれてるじゃん。俺、女のコにそこまで想われたことねえよ。」 響くんは私の頬を愛しそうに撫でた。 「みおは俺が見つけて俺が助けたコなんだ。記憶喪失だって分かった時から、大切にして守ってやらねえとって思ってた。 そうしたらみおも俺のことを好きになってくれて、今じゃ俺がいないと泣きそうになるぐらい、求めるようになっただろ?すげえ幸せだよ。」 「響くん…」 響くんは私を抱き寄せて言った。 「俺…夢があってさ…島で俺が先生やってて、みおは島のピアノの先生なんだ。仕事が終わって二人の家に帰ってくるとみおが出迎えてくれてさ。 それで夕飯を食べながら今日あったことを話すんだ。みおは笑顔で話を聞いてくれて、俺もみおの話を聞いて笑顔になるんだよ。その後は毎晩抱き合って寝るんだ… 休みには時々島の観光地に遊びに行ったり、たまには内地に出かけたりもしてさ。もし嫌なことがあっても二人で楽しく過ごして、笑顔や元気に変えていくんだ…そんな風にみおと暮らせたらどんなに幸せかと思う。」 「響くん…私もそれができたら幸せだよ。」 私が響くんを見つめて言うと、彼は切実な顔をして言った。 「みお…もし記憶が戻っても俺を拒絶しないでくれ。俺、前も言ったけど嫌な予感がするんだ。思い出したらみおが何処かに行ってしまいそうで…」 「響くん…私はずっとあなたの傍にいたい…」 響くんは私がそう言うと、泣きそうな顔でキスをし始めた。私はまたキスをしながら涙が流れてしまったのだった…。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加