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運命の日
花火大会から島に帰ってきた次の日に、私のお盆休みは終わってしまった。
響くんはもう少し休みがあるので、職場の先輩と泊まりで内地にツーリングに行くことになっていた。
「じゃ、行ってくる。」
響くんは玄関に立っていた。
「気を付けてね。」
響くんは私の顔をじっと見た。
「みおを小さくして、この服の胸ポケットに入れて連れて行けるといいんだけどな。」
「だ、大丈夫だよ。一泊二日ぐらいさすがに私も待ってられるから。」
私は赤い顔をして言った。
「俺が帰ってきたら、早速住む部屋探しに行こうぜ。」
響くんは私の頭を撫でて言った。
「うん。」
私は笑顔で返事をした。
「△△市にも一度行ってみるといいけどな。」
それを聞いて私の顔は雲ってしまった。
「それは…部屋が見つかった後でいい。」
「でも、夏休み中には絶対行こう。」
「うん…」
「みお、お土産買ってくるからいいコにして待ってるんだぞ。」
響くんは気を取り直すように言った。
「響くん…相変わらずお父さんみたいだよ。」
私は口を尖らせた。
「じゃあな。」
響くんは私にキスをした。
「行ってらっしゃい。」
私は赤い顔で手を振った。
私ももう少ししたらお店に行かないと。お盆だからお客さんも多いしね。
私は気合いを入れたのだった。
これが響くんと過ごす最後の朝になったとも知らずに…
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