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「澪、お父さんとお兄さんになる方たちよ。」
ある日母に笑顔で紹介されたのは、ドラマに出てくるようなスーツの似合うダンディな男性と王子様のような男の子だった。
母はその男性と病院で知り合った。
担当の患者だったそうだ。
私も慌てて笑顔になった。
「よろしく澪ちゃん。可愛らしい子だね。」ダンディな男性は笑顔で頭を撫でてくれた。
「澪ちゃん、僕、怜弥って言うんだ。よろしくね。」
王子様のような男の子も笑顔で私に握手をしてくれた。
私は怜弥と言われた男の子を見て、ポウっとなってしまった。
この男の子、学童にいるお兄さんたちと全然違う。王子様みたいに顔は綺麗だし優しそう…。
学童にいる男の子たちはヤンチャで気を付けて接しないといけなかった。
私は大人しかったので嫌な思いはしていなかったが。
何より母が喜んでいた。
お母さんが嬉しそう。新しい家族が増えるのはとてもいいコトなんだ。それもこんな素敵な人たちとなんだから、私も喜ばないと。
私はいつも以上に愛想よく振る舞った。
母は上機嫌だった。相手の男性もそうだった。
「僕たち、いい家族になれそうだね。」
こうして、母はその男性と再婚し、私は庄野 澪(ショウノ ミオ)という新しい名前になった。
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