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母が再婚してから、新しい父の家に引っ越すことになった。
前のお母さんとは死別だったそうだ。
お家は立派で、父は会社でも地位がある人だった。
母は再婚すると看護師の仕事を辞め、専業主婦になった。
そして私は転校した先の小学校では、学童に行かない代わりに習い事に行くようになった。
ピアノ、英会話、スイミングと習うようになり平日はなかなか忙しかった。
特に母はピアノに思入れがあった。
私のピアノの練習には必ず付いて口出しをした。
兄になった怜弥兄さんは、王子様の外見と違わず中身もそうだった。
成績優秀、運動神経抜群で、人望も厚く児童会長を務めていた。
私は内心前の小学校から転校することは、憂鬱だった。しかし「庄野君の妹」ということで、私は周りに温かく受け入れてもらえることができた。再婚でできた妹だということを変な風に揶揄する子はいなかった。
兄は六年生で私立中学を受験する予定でいた。塾通いをしていて、母は送り迎えや弁当作りに追われた。
母は、父と兄に対して良き妻、良き母になろうと必死だった。だから母が家にいてくれる反面、母が私に対して厳しくなってしまったことに順応しようと必死だった。
新しい父は優しかったが、ゴルフや接待で休日家を開けることが多く、遠い存在だった。甘えることは到底できなかった。
そして兄は…
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