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その男の子もイケメンだった。兄は正統派のイケメンだったが、その人は甘いマスクで、もう少し砕けた感じがした。
「こ、こんにちは…」
私はペコリと挨拶をした。
「こんにちはー、怜弥の妹?」
「は、はいそうです。」
「いくつ?」
「中一です。」
「めちゃ可愛いじゃん、俺、怜弥のダチの孝輔、よろしくね」
孝輔さんは人懐っこい笑みを浮かべた。
「は、はい…」
「…澪、今日部活じゃなかったのか?」
兄が聞いた。
「あ、うん…急に練習がなくなって…」
「ふーん…」
「お兄さんも?」
兄は高等部でも引き続きサッカー部に入っていた。
「ああ…」
何故か兄は面白くない顔をしていた。
気付くと孝輔さんは私の顔を見てニヤニヤしていた。
「そっかあ、そういうことかあ」
私は意味がわからなくて孝輔さんの顔をキョトンと見つめた。
「怜弥が女のコに人でなしなのは、澪ちゃんのせい…」
「孝輔!」
お兄さんが物凄い目で孝輔さんを睨み付けた。
私はお兄さんのそんな顔を見るのは初めてなので驚いてしまった。
「…俺の部屋に行くぞ。」
「はーい、じゃ澪ちゃん、お邪魔してごめんね。」
「い、いえ…」
私は面食らったまま孝輔さんにペコリと頭を下げて、またピアノの練習を続けた。
母がその後帰ってきて兄の友達が遊びに来ていることを知り驚いていた。
「怜弥君が友達連れてくるの初めてじゃない?」そう言ってお茶とお菓子を兄の部屋に持っていき、上機嫌で戻ってきた。
「挨拶もきちんとして、感じのいい子だわ。」
確かにお兄さんが友達を連れてくるの初めてかも…てことはとても仲がいいのかな?
こうして孝輔さんはたまに家に遊びに来るようになった。孝輔さんは何故か私に興味津々だった。だから私がたまたまいる時は、兄の部屋に私も呼ばれて一緒にゲームすることもあった。
孝輔さんは気さくで感じが良かったので、私もそこまで緊張しなくて済んだ。
何よりそれで兄と接せれるのも嬉しかった。
兄は孝輔さんの前でも変わらず私に優しかった。
孝輔さんはそれにも驚いていて、「俺、姉貴がいるけどこんな風に仲良くないぞ。」と言っていた。
そして「澪ちゃんは可愛いし、素直で一緒にいると癒されるから完全にタイプだけど、手を出したら怜弥に殺されるからやめとこっと」と冗談なのか何なのかよくわからないことを私に言ったのだった。
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