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夕飯を食べ、交代でシャワーを浴びた後は、リビングで友達に明日から大学に行くとスマホのメッセージを送った。葬式に来てくれた友達もいて、みんな事情を察してそっとしていてくれた。
兄は自室に行かず、リビングに一緒にいた。
夜も更けて私は欠伸が出てしまった。
「澪、眠い?」兄が話し掛けた。
「うん、もう寝ようかな。」
「なら一緒に寝ようか。」
一緒って…お兄さんと添い寝だよね。
「い、いいよ。私はもう大丈夫だから。」
「いや…澪、泣いて起きることがあるから駄目だ。心配だ。院に戻るまでは一緒に寝よう。」
兄はそう言ってテレビを消し、私の手を引っ張って立たせた。
兄と手を繋いで部屋に行く間、私はドキドキした。
お兄さん、私たちもういい歳だし、兄妹なのに…これじゃあ同棲してるカップルと同じだよ…
兄の部屋のベットで、私は抱き寄せられていた。両親が亡くなってからずっとそうだった。
私はそうしてもらうと、やはりドキドキもしたけど安心もした。
「お兄さん…」
「うん?」
「お母さんとお父さんが亡くなってから、ずっと傍にいてくれてありがとう。私、お兄さんがいたからこうして立ち直ることができたよ。」
「まだ、心配だけどな。」
兄はそう言って私の頭を撫でた。
「お兄さんだって辛かったのに。」
「そうだけど、澪が心配で自分を構ってる余裕はなかったな。それに俺、澪が泣いてる時に一緒に泣いたしな。」
そう言われてみると、そうかもしれない…
「お兄さん、その上、院を辞めることになったのは私のせいだから、申し訳なくて…」
「それは違うよ。澪のせいじゃない。俺は大学は卒業したけど澪はしてないだろ。どっちを優先させるかは解りきったことだ。」兄の声は真剣だった。
「俺、父さんと母さんが死んで、腹を括ったんだ。澪を守るのは俺だって。これからは二人で支え合って生きていこう。俺は澪の傍にずっといるよ。」
暗闇で兄は微笑んだ。
お兄さんはやっぱり私の王子様なんだ…
「お兄さん、ありがとう…」
私は思わず兄に抱き付いた。兄も背中に手を回してくれた。
そして私はとうとう心の奥底に押し込めていた、自分の気持ちに気付いてしまった。
私はお兄さんが好きなんだ…
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