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新たな出会い
四十九日後兄は院に戻ったが、私は泣いて寝れないということはなくなった。兄からは頻繁にLINEや電話で連絡があったのでそこまで寂しくはなかった。
私は大学生活を再開した。欠席していた授業は事情が事情だからということで追加のレポートを出せばいいことになった。
奨学金を申請し、多分通るという話だった。
これで大学に掛かるお金は賄え、日々の生活も両親の保険金で、贅沢をしなければ暮らしていけるようになった。
しかし私はオーケストラ部を辞めて、バイトを増やすことにした。
サークル活動は金銭的に続けることはできたのだか、兄が院を辞めた以上、自分だけ余暇を楽しむ気分には到底なれなかった。
実は兄が院を辞めなくても、何とか私も大学を通うことはできた。
それでも彼は私の傍にいることを選択したのだった。
大学では仲のいい友達は四人いた。中等部からの付き合いで気心も知れている子たちだった。その子たちには私は父と兄は母が再婚した家族だと伝えていた。
その中でも一番仲が良かったのは千沙という子だった。
私は千沙にだけ兄への想いを話した。
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