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私は男の人に触られるのは兄以外にはなかったので、驚いてしまった。
「庄野さん…オムライスの作り方覚えて、誰かに食べさせてやりたいの?」
櫻井君が私の顔をじっと見て言った。
「あ…う、うん。」
「誰に?」
兄の顔が浮かんだ。
「か、家族に…」
櫻井君は拍子抜けした顔をした。
「庄野さんって彼氏いないの?」
「うん、いない。」
「そうなんだ。」
しばらく無言になった。
「庄野さんって洋食好き?」
櫻井君がまた口を開いた。
「うん、好きだけど…」
「俺、美味しい店知ってるから、今度一緒に食べに行かない?」
私は櫻井君の顔をじっと見た。
え?それってデートの誘い?そんなわけないか。ご飯食べるだけだもんね。なら、友達としてってことかな?あれ?でも私、櫻井君と友達だっけ…連絡先も知らないし…
「そんな、じろじろ俺の顔見るなよ。」
櫻井君は少し照れ臭そうな顔をした。
「…櫻井君って彼女さんいるの?」
「唐突だな。」
「あ、ごめん。」
「いないよ。…庄野さん、俺に興味あるの?」
私は櫻井君の顔を見ながら、他の人に目を向けた方がいいと言った千沙の言葉が浮かんだ。
お兄さん以外の男の人と、もっと接した方がいいのかな…
「うん、あるかも…」
私が呟いたら櫻井君は吹き出した。
「庄野さんって天然?」
「よ、よくわからない。ごめんね。私、男の子と殆ど話したことないから。」
「え?」櫻井君は驚いた。
「あ、あの…中学校から女子校で…」
「あ、そういえば庄野さんお嬢様大学だもんな。エスカレーターなんだ。…てことは今まで彼氏いなかったの?」
「うん。」
櫻井君はまた驚いていた。
「俺の中では女子校の方が、そういうの盛んなイメージあるけどな。」
「私は興味が持てなくて。」
櫻井君はそれを聞くと「マジかよ」と呟いた。
すると櫻井君は私の頬を撫で出した。
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