彼の家族

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「ただいま~」 響くんが店の入口に入った。 私も後ろから付いて入り、彼のすぐ斜め後ろに立った。 「お帰り。」 奥から女の人が出てきた。 年配の女性で、顔は響くんに似ていた。 「お袋、みお連れてきたよ。」 響くんのお母さんは、私の顔をまじまじと見つめた。かなり驚いていた。 「こんにちは、あ、あの、響さんのご好意でここまで連れてきていただきました。この度は本当に…」 「響、この子がみおさん?」 お母さんは、私が言い掛けた言葉を遮って響くんに話し掛けた。 「そうだよ。」 「響の大学の友達ではないの?」 「ちげえよ。」 お母さんはむしろ呆気に取られていたが、少し笑顔で 「…みおちゃん、ようこそ。こんな辺鄙なところまで来てくれてありがとうね。」と言ってくれた。 「と、とんでもないです!私ご迷惑をお掛けして…」 「と、とにかく奥へきてちょうだい。響の姉夫婦も待ってるから。」お母さんは奥へ入っていった。 「は、はい。」 確か響くん、お姉さんはちょっと…って言ってた。それはそうよね。こんな記憶喪失の女、普通胡散臭いと思われても仕方ないかも…。 私は不安気に響くんの顔を見てしまった。 「大丈夫だって。俺もいるし。」 響くんは少し微笑んで言ってくれた。 私は更に緊張して響くんの後に続いた。
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