彼の家族

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お母さんの後に続いて店の奥へ入った。 「俺ん家一階が店で、二階が住まいなんだ。だから階段で上がるぞ。」 「うん…。」 階段で上がると、すぐの部屋に通された。 そこは台所とダイニングテーブルのある部屋と、大きなちゃぶ台がある部屋が続いてあり、そこに響くんのお姉さん夫婦らしき人たちと小さな女の子がお姉さんの膝の上に座っていた。 「ユカリ、響がみおさん連れてきたよ。」 お母さんが声を掛けると、その人たちは私と響くんをじろじろ見た。すると彼女たちも呆気に取られた顔をした。 「あ、あの…初めまして、私…」 私が言葉を言い掛けると、今度はユカリさんに遮られた。 ユカリさんも響くんと同様に整った顔をしていたが、少しキツそうな感じがした。 「…響、このコがみおさん?」 「そうだけど。」 「あんた、私らに嘘言って実は彼女を連れてきたの?」 「は?」 「えっ」 私たちは二人とも顔が赤くなった。 「ち、ちげえよ。姉ちゃん何言ってるんだよ。」響くんが慌てて訂正した。 「もしかして、あんたたちデキちゃって、それを誤魔化すつもりでこんな突拍子もない話を思い付いたとか?」 「違うって、姉ちゃんいい加減にしてくれ。」響くんは赤い顔のまま訂正した。 「………」 お姉さん夫妻は顔を見合わせて首を傾げていた。 どうしたんだろ…。何かお母さんといい、さっきから私に会った人は響くんの関係者だと勘違いするみたい。やっぱり年齢が近いから? 「ユカリ、私も驚いたけどね。この子がみおさんだって。さあ、あんたたちも疲れたでしょ。座んなさい。私、お茶入れてくるから。」 お母さんが取り成して、私たちはお姉さん夫妻と向かい合わせでちゃぶ台に座った。 「こうしてると二人、結婚の挨拶に来たみたいだよ。」 お姉さんの旦那さんと思われる男の人も微笑んで言った。 「タカシさんもいい加減にしてくれよ。このコが前から話してた『みお』だよ。俺のせいで記憶喪失になっちゃった。」 「べ、別に響くんのせいじゃないよ。」私は慌てて否定をした。 「みおさんだっけ。あなた、本当に何も覚えていないの?」 お姉さんは、私の顔をじっと見て言った。
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