不思議なデジャブ

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不思議なデジャブ

こうして私は響くんの家にご厄介になることになった。 次の日の朝はお母さんと同じ時間に起きて朝食の準備や響くんのお弁当作りを手伝った。 響くんは、少し心配そうに私の顔を見て出勤していった。 その後はお店の開店準備を手伝った。その頃にお姉さんも来てくれた。菜々ちゃんはその間は保育園に預けていた。 お姉さんに言われたように動いていたが、お姉さんは驚いていた。 「みおさんって結構料理とか掃除とかしてたんじゃない?」 「そ、そうですかね。」 お母さんも奥から言った。 「私も驚いてね。この子きっと家のことをよくやっていたと思うよ。」 記憶はなかったが、身体が覚えていたようで私は言われたことがさっとできていた。 「その動きは家事を長年自分一人でやっていたみたいよ。」 お姉さんが言った。 「どちらにせよ助かるよ。この子は即戦力だね。」 お母さんに褒められて私は嬉しかった。 お店が開店した。するとしばらくして常連さんっぽいお客さんが次から次へ来た。 この定食屋のお客さんの大半は島で働く男性客だった。 「新しいコだねえ。どうしたの?」と、私をジロジロ見てお母さんやお姉さんに話し掛ける人も多かった。 「私の親戚のコだよ。しばらく店を手伝ってもらうからよろしくお願いしますね。」 と、お母さんが言うと「こんな若くて可愛いコ大歓迎だよ。この店は美人揃いでいいねえ。」と相好を崩すお客さんが殆どだった。 あっというまに夜になった。 お姉さんは夕方前に帰って行った。 響くんは七時過ぎに帰ってきた。 「お帰り、響、今日は早いね。」お母さんが驚いていた。 「まあ…今日は…」響くんが言い淀んだ。 「みおちゃんが心配だからか。」お母さんはニヤッと笑った。 「ち、ちげえよ。」響くんは赤くなった。 「みおちゃんなら大丈夫だよ。よくやってくれたよ。」 「そうなのか?」 響くんは驚いて私の顔を見た。 「このコ、家事をずっとやってきてたみたいだよ。調理の手伝いも掃除もテキパキしてくれてね。助かったよ。」 お母さんが言うと響くんは「そうか…」と呟いた。 あれ?響くんなら、もっと喜んでくれるかと思ったのに。 私は意外だった。 「じゃ、響、奥で食べる?みおちゃんもいいよ。一緒に。」 「わ、私は、お店がまだ…」 「うちは夜はそこまで人が来ないんだよ。後少しでオーダーストップするし、今日はいいよ。」 お母さんがそう言ってくれ、私は響くんと一緒に夕飯を二階に運んで食べることになった。
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