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「うちは島だから魚の方がうまいけど俺と一緒で本当に良かったのか?」
私は響くんと一緒で生姜焼き定食にした。
「昨日お魚は夕飯にいただいたから、いいよ。私お肉も好きだし。」
「そっか。」
響くんと「いただきます」と手を合わせて食べた。
しばらく食べていて無言だったけど、響くんが話し掛けた。
「みお…きっと苦労してきたんだな。」
「えっどうしたの?」
「いや、みおの見てくれだと一見お嬢さんというか、何なら自分で家事をしなくてもいい育ちかと思ったから…」
響くんは私を眩しそうに見つめて言った。
え?
私は赤くなった。
「そ、それは買いかぶりすぎだよ。」
「そうかな…でも、お袋が言ってた通りならきっと自分のことは自分でやってたんだろ。それも結構長い間。だとしたら苦労してたのかなって。」
「でも…私、響くんと同じぐらいの年でしょ。それなら十分あり得るんじゃない?」
「いや、店をやっているお袋が褒めるなら相当だぞ。俺、ちなみに料理は全然できねえし。」
「そうなの?」
「ああ。洗い物とか、そういうのはまだやれるけど…」
そうなんだ。
逆に私は響くんが可愛く思えた。
「な、何だよ。ニヤニヤして何かおかしいか?」
「ううん。別に。」
「みおも人をからかうんだな。」
「そんなんじゃ。…あ、あの響くん。」
「何?」響くんはまだブスッとしてた。
「…響くんの仕事の話聞いてもいい?」
響くんは少し驚いた。
「みお、先生の仕事に興味あんの?」
「うん、それはよくわからないけど、でも、響くんがどんな仕事をしてるかは興味があるよ。」
「そっか…」私がそう言うと響くんは笑顔になった。
やっぱり私、響くんの笑顔好きかも…
私は内心ドキドキしていた。
響くんはそれから自分の中学校の仕事の話をしてくれた。
響くんは優しく穏やかな話し方なので、私もそこまで遠慮せずに質問をしながら聞くことができた。
…あれ?…前も…私…誰かと…こんな風に…
響くんと話しながら私は不思議なデジャブを感じていた。
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