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帰りは遼太くんが部屋まで送ると言って聞かなかったので、お言葉に甘えることにした。
もうすぐ私の住むアパートに着くところで、ふと、私はLINEのことを思い出した。
「遼太くん、そういえばいつもLINE送ってくれてありがとう。今朝も挨拶してくれたよね。」
「ああ…うん…」
「やっぱり今どきの学生って男の子でもマメなんだね。私みたいな社会人にも送ってくれて。」
「…別に誰にでもしてるわけじゃねえよ。」
「え?」
「俺、基本面倒くさがりだし。」
ん?どういうこと?そんなLINEを私には送ってるってこと?
私はハテナが出たが突っ込むことはできなかった。
アパートの前に着いた。
「遼太くん、送ってくれてありがとうね。」
「澪さん、来週の日曜日とかって空いてる?」
「特に予定はないけど…」
「俺、あんま服持ってねえんだ。バイト代入ったし、買いにいきたいんだけど付き合ってくれねえ?」
「…友達と行かないの?」
「澪さんがダメなら友達と行くけど。」
え?それって私と出掛けたいってこと?何で?
私はまたハテナが出た。
私は遼太くんの顔を見つめた。
…予定がないって言ったのに断ったら感じ悪いよね。
「…いいよ。」
「じゃ、俺、今度車出すよ。」
遼太くんは若干嬉しそうな声を出した。
「あの…」
「ん?」
「遼太くん、他に声を掛けれる女の子はいないの?こんな年上の女誘っても…」
「別に誘いたいコは他にはいねえ。」
遼太くんはまたブスッとした声で言った。
そして私をじっと見つめた。
「澪さん、俺とそんな歳離れてるように見えねえよ。」
遼太くんはそう言って右手を伸ばすと私の頬を撫でた。
え?え?
私が目を丸くしていると、遼太くんはフッと笑った。
「澪さんって、やっぱ可愛い…」
そう言ってそのまま私に触れるだけのキスをした。
!
「お休み。また来週。」
遼太くんは微笑んで私の頭を一撫ですると、前を向いて歩いて行ってしまった。
い、今の何?
私、遼太くんにキスされたの?
私は呆然としながらしばらく立ち尽くしていたのだった。
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