懐かしい場所

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お昼ご飯代は遼太くんがさっさと伝票を持って行ってしまった。 せめて遊園地代を払おうとしたけど、遼太くんが頑として譲らず、そこは割り勘で何とか落ち着いた。 遊園地の敷地に入って遼太くんは口を尖らせて言った。 「俺、バイト代入ったんだし、澪さん遠慮するなよ。」 「するに決まってるでしょ。遼太くん学生なんだし…」 「ちぇっ早く社会人になりてえな…」 「大学に入学したばかりで何言ってるの?」 私は思わず笑ってしまった。 すると、遼太くんは私の手を引いて歩き出した。 「えっ、ち、ちょっと、遼太くんっ」 「澪さん、今から片っ端から乗り物乗るから、付いてこれるように手え繋がねえとな。」 「そんな年寄り扱いしないでよ。」 「じゃあ、俺のことも年下扱いするなよ。」 いや、それはするでしょ… 私は心の中で突っ込んだ。 でも…男の人と手を繋いで歩くの、響くん以来かも… 私は思わずドキドキしてしまった。 それから遼太くんは宣言通り、次々に乗り物に乗って行った。 私は遊園地に来るのは学生以来だったので、年甲斐もなく少しはしゃいでしまった。 遼太くんといると、何か童心に返るというか無邪気でいれるかも。思えば島で一緒に釣りをした時も楽しかったのよね… たださすがに夕方になると疲れてしまった。 「あ~乗ったなあ。」 遼太くんは満足そうに呟いた後、私の顔をからかうように覗き込んだ。 「澪ネエサンは大丈夫?」 「ち、ちょっとしんどいかな…」 「そっか…結構乗ったしな。」 遼太くんはそう言って私の頭を撫でた。 遼太くん…結局ほとんど手を繋いだままだし、これじゃカップルみたいだけど… 「最後に観覧車乗らねえ?ここ、海沿いの景色が良く見えるからさ。」 「うん、いいよ。」私も賛成した。 観覧車に向かい合わせで乗った。
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