139人が本棚に入れています
本棚に追加
お昼ご飯代は遼太くんがさっさと伝票を持って行ってしまった。
せめて遊園地代を払おうとしたけど、遼太くんが頑として譲らず、そこは割り勘で何とか落ち着いた。
遊園地の敷地に入って遼太くんは口を尖らせて言った。
「俺、バイト代入ったんだし、澪さん遠慮するなよ。」
「するに決まってるでしょ。遼太くん学生なんだし…」
「ちぇっ早く社会人になりてえな…」
「大学に入学したばかりで何言ってるの?」
私は思わず笑ってしまった。
すると、遼太くんは私の手を引いて歩き出した。
「えっ、ち、ちょっと、遼太くんっ」
「澪さん、今から片っ端から乗り物乗るから、付いてこれるように手え繋がねえとな。」
「そんな年寄り扱いしないでよ。」
「じゃあ、俺のことも年下扱いするなよ。」
いや、それはするでしょ…
私は心の中で突っ込んだ。
でも…男の人と手を繋いで歩くの、響くん以来かも…
私は思わずドキドキしてしまった。
それから遼太くんは宣言通り、次々に乗り物に乗って行った。
私は遊園地に来るのは学生以来だったので、年甲斐もなく少しはしゃいでしまった。
遼太くんといると、何か童心に返るというか無邪気でいれるかも。思えば島で一緒に釣りをした時も楽しかったのよね…
たださすがに夕方になると疲れてしまった。
「あ~乗ったなあ。」
遼太くんは満足そうに呟いた後、私の顔をからかうように覗き込んだ。
「澪ネエサンは大丈夫?」
「ち、ちょっとしんどいかな…」
「そっか…結構乗ったしな。」
遼太くんはそう言って私の頭を撫でた。
遼太くん…結局ほとんど手を繋いだままだし、これじゃカップルみたいだけど…
「最後に観覧車乗らねえ?ここ、海沿いの景色が良く見えるからさ。」
「うん、いいよ。」私も賛成した。
観覧車に向かい合わせで乗った。
最初のコメントを投稿しよう!