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観覧車から降りても、遼太くんは手を離さなかった。
「あ~癒された。」そう言って歩きながら私に微笑んだ。
「今の景色で?」
「ううん、澪さんと隣に座って手え繋いでると何か落ち着く。」
「………」
私は顔が赤くなった。
やっぱり遼太くん、硬派でも何でもないかも…
「澪さん、俺まだ行きたいトコあるから夜飯も食ってっていい?」
「えっあ、そうなの?…わかった。」
私と遼太くんは遊園地を出て夜ご飯を一緒に食べることになった。
夜ご飯を食べた後、遼太くんは少し車を走らせた。
しばらくして私はふと見慣れた景色が現れたのに気が付いた。
あれ…この景色…見たことある…
着いたのは、工場のネオンが見える夜景の場所だった。
ここ…響くんと来た場所だ…
「ここから見える景色綺麗なんだよ。降りようか。」
遼太くんが声を掛けた。
「 澪さん?」
「あ、う、うん、そうだね。」
遼太くんと車を降りた。
二人で柵のところに立ち、工場のネオンを見た。
否応なしに響くんのことが思い出された。
私…ここで響くんに告白されて…私も響くんに好きって言って…両想いだってわかって心の底から嬉しかったっけ…
夢を見て心細くなっていた時に、ここまで響くんが迎えにきてくれたこともあった…
「澪さん、どうかした?」
「う、ううん…何でもない。」
「…葛西先生のこと考えてるの?」
…え?
私はドキッとして遼太くんの顔を見た。
「澪さんは、葛西先生のことがまだ好きのの?」
「えっど、どうして?」
「今日、買い物した場所、葛西先生と前に来たんだろ?」
「………」
「何かゲーセンに誘った時、様子がおかしかったもんな。」
「う、ううん、そんなことないよ。遼太くん、気のせいだよ。」
私は思わす誤魔化した。
「そうか?この間俺、言わなかったけど、葛西先生…実は結婚してるよ。」
え?
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