140人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺…今日楽しかったよ。特に遊園地。澪さんは違った?」
「遼太くん、私も楽しかったよ。でも……」
遼太くんは身体を離して私を見つめた。
「遼太くんのこと…そんな風に考えられない…」
「……」
遼太くんは傷付いた顔をした。
「ごめんなさい…」
遼太くんは私の手を引っ張って車の方に歩き出した。
「り、遼太くん?」
「帰ろう。ここだって葛西先生と来たことあるんだろ。」
「………」
やっぱり気付かれてたんだ。
車に乗った。遼太くんはまた私の手を繋いで車を走らせた。
「遼太くん…」私は振りほどこうとしたが力が強くて離せなかった。
遼太くんは駄々っ子のような顔で運転をしていた。
私はため息を付いた。
しばらく走って遼太くんが口を開いた。
「俺、澪さんといると自然体でいれるんだ。それに澪さんは、年上だけど何かほっとけねえっていうか、やたら構いたくなるんだよ。俺、今まで女の人といてそんな風に思ったことはねえし、それって好きなのかなって…」
「………」
私は何て返せば言いかわからなかった。
そこからは無言になった。
私のアパートに着いた。
遼太くんは手を離した。
「こ、ここまで送ってくれてありがとう…お休みなさい。」
「澪さん、LINEとかまたしてもいい?」
遼太くんはすがるように私を見た。
「う、うん、いいよ。」
拒否はできなかった。
「パスタ屋にもまた食べに来てくれる?」
「うん…あの店は美味しいし…」
遼太くんはまた私の顔をじっと見つめた。
「…澪さん、俺のこと好きになれねえのはどうして?やっぱり年齢のこと?」
「…それもあるけど…突然言われて…」
「葛西先生がまだ好きだから?でも、ずっと前に別れたんだろ?」
「…遼太くん…ごめんね。」
「澪さん、返事になってねえよ。」
「………」
私はまた黙ってしまった。
遼太くんはため息を付いた。
「…ごめん、俺、困らせてばっかだな。今日は付き合ってくれてありがとう。お休み。」
「お休みなさい…」
私は遼太くんが納得できる言葉を掛けることが出来ないまま、車を降りてしまったのだった…
最初のコメントを投稿しよう!