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「え…?」
響くんはそう言ってその後顔が赤くなった。
「い、いや、俺、その…会ってすぐ呼び捨てにしたのはみおが初めてで…ダチには距離感近いって言われたことはあるけど…俺、元々女のコに話し掛けるのはそんな得意じゃねえし…」
「そ、そうなの?」
何故だか私はそれを聞いて嬉しかった。
「あ、ああ…何だろみおは、やっぱり出会い方が強烈だったからほっとけねえっていうか…それに今日は俺、自分の仕事の話みおに聞いてもらってすげえ楽しかったよ。みお、聞き上手なんだな。」
私は響くんに褒められて心がポカポカした。
「わ、私もだよ。響くんの学校の話聞くの楽しかった。」
私も赤い顔をして言った。そして思いきって言った。
「響くん…明日も学校の話してくれない?」
響くんは少し驚いた顔をしたが、
「いいよ。」と笑顔で頭を撫でてくれた。
「明日は、今日よりは帰りが遅くなるけどな。それでもよければ、また今日みたいに飯を食いながら話そう。」
「うん。」私は笑顔で返事をしたが、ハッとなった。
「響くん…その、彼女さんはいないの?」
「えっ…いねえよ。」
「そ、そうなんだ。」
私はまた内心嬉しかった。
「みおは俺に彼女がいるか、気になるのか?」
響くんは真顔で聞いた。
「だ、だって彼女さんがいたら二人で話するのもよくないでしょ。彼女さんが知ったら気を悪くするよ。」
私は慌てて言った。
「…みおって、やっぱり純だ。」
響くんはそれを聞くとまた微笑んで言った。
でも、その笑顔は若干甘いように思えた。
そして、そっと私の頬を撫でた。
「…風呂にゆっくり入って休みなよ。今日も疲れたろ。」
「う、うん…。」私の顔は真っ赤だった。
「じゃあ、お休み。」響くんは、私の頭をポンポンと軽く叩くと立ち上がって部屋を出て行った。
私はドキドキが止まらなく、デジャブがあったことはすっかり頭から抜けてしまったのだった。
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