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広いベッドルームだ。
裸の男と女が絡んでいた。
男の方は俺の泰則だ……。
あんまりじゃあないかっ!!
俺は泰則に向かって叫んだ。しかし、俺の声はどうやら聞こえないようだ。
泰則は女から身を起こして、ベッドに座り込んだ。
「どうしたの? あなた…」
「いや、すまない……、どうもその気になれなくて……」
呟いた声は弱い。顔もやつれているようだ。
どうしたんだ、泰則。
泰則は太陽のような奴だった。いつも陽気に笑っていた。俺の背中をバンと叩いて大丈夫だと言っていた。
あんなに輝いていたお前は何処に行ったんだ。それに、絶倫だったじゃないか、お前。俺を、あんなに何度も──。
ああ、暖めて欲しい。今すぐ。
しかし、伸ばした俺の手は泰則をすり抜けた。もう俺は、お前に触れることが出来ないのか!?
俺は泰則を目の前にして途方にくれた。女が身を起こして、泰則の体に手を掛けようとする。泰則の側にいた俺と、女の体が重なった。
──と、俺の体が女に吸い込まれてゆく。
わあぁぁ───!!!
始め、何が起こったのか分からなかった。泰則が俺を揺さぶって、
「おい」と言っている。
え……!? 泰則の手を感じる。俺は……!?
自分の手を見ると女の手だった。白くて細い。長い爪にマニキュア。髪も長い。腰も細い。目を上げると泰則が不審な顔で俺を見ている。
俺は泰則に抱きついた。
訳を話すより何より、泰則、お前に暖めて欲しいんだ。キスをして押し倒した。
「萌美。俺は……」
泰則は俺を振り払おうとする。俺は泰則を押さえて、まだ俯いたままのそれを口に含んだ。お互いに慣れた愛撫だった。次第にそれが元気を取り戻す。感極まったように呼んだ。
「千尋……」
俺の名前を……。
ああ泰則……、どうしてこんな事になってしまったんだろう。でも俺は、もっともっと暖めてもらいたいんだ。
俺は男の上に馬乗りになって自分の後ろを寛げた。女の体であるにもかかわらず、そこを使うのは嫌だった。泰則のそそり立ったものに腰を下ろし、ゆっくりと動き始める。
少し呆気に取られていた泰則も、俺の腰を掴み攻めてきた。早いピッチに体が熱くなる。
ああ……、もっともっと暖めてくれ。
「千尋!!」
泰則が俺の名を呼んで果てた。
ああ……、俺もイッちゃったよ。これで昇天できるかな……!?
ホワリと俺の体は浮き上がり、女から離れた。俺が女の体から抜け出たので、女はぐったりと後ろに倒れた。
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