タイムカプセル

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タイムカプセル

『やあ、18才の僕。元気ですか? 今はジェイクとアレックスと別れるのが辛いけど、新しい友達はいますか? 夢はありますか? 好きな人はいますか? お酒飲みましたか? 新しい中学も、新しい街も、不安でしかたないけど。きっと18才の僕は幸せだと信じています。 近くにジェイクとアレックスがいたら、「夏の夜空を探して」と伝えてください。ヒントは一緒に入れておきます。 2人は約束を覚えていてくれてるかなー』  錆びた円筒の缶に入っていた手紙。それを読み終わった僕は、自分の中にオリヴァーの面影を探した。オリヴァーの顔が浮かんでは消えた。自分には楽しい想い出なんてないと思っていた。どうして忘れてしまったんだろう。ジェイクとオリヴァー、いつも一緒だった3人の思い出があるはずなのに。 「ジェイク。約束ってなんだい」 「それが。俺も分からないんだ」 「夏の夜空を探して、か。とりあえず夜まで待つか。全部出しても?」 「ああ」  僕は缶の中身を、全部テーブルに並べた。 「これは印字が掠れてるけどボートのチケット? それと紙飛行機。あと、木のボール。これは何だ?」 「しけったキャップ火薬みたいだ」 「おもちゃの鉄砲で使ったやつか。これだけ?」  ジェイクは頷くと缶を手に取った。 「それで中身は全部。オリヴァーはゲームが好きだったから、ただの遊びかもしれないけどな」 「そっか。ごめん。僕には何故だかオリヴァーの記憶があまりないんだ」 「んー。お前には辛い頃でもあったろうから、無理もないか。逆にそれを思い出させるようで悪い事したな」 「いや、いんだ。なんとなく、これを解決できたら、前に進めそうな気がするんだ」  僕は今回の事をきっかけに、無意識に封じてしまった過去を思い出したいと強く思った。
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