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トライアングル
僕らは廃校になった小学校の屋上に忍び込んでいた。途中で買い込んだ手持ち花火を持って。
屋上に着くまでには僕も思い出していた。『大きくなったら、3人で屋上に忍び込んで花火しよう』それが3人の約束だった。
「だからキャップ火薬が花火を示してるんだと気付いたんだ」
花火を並べながらジェイクが自慢げに説明を続けていた。
「18才でタイムカプセル開けたら、俺らに謎解きさせて、約束を思い出させようって狙いだったんだな」
屋上に出る鉄の扉は、当時のまま蝶番が壊れていた。持ち上げると扉ごと外れるのだが、当時の僕たちには、まだ無理だった。
「こんな事まで考えて楽しみにしてたんだな」
花火を三角に並べ終わると、僕とジェイクは花火に火をつけていった。
「これならオリヴァーにも見えるだろ」
「見つけたぞー!」
2人で夏の空を見上げて手を振った。約束を果たせたかなと思った。そして、僕の中で止まっていた時が動き出した気がした。
「アレックス。俺さ。目標ができたわ。本を作るよ、謎解きの。こうやってリアルにクエストを体験する謎解きの本。よくない?」
隣を見ると、ジェイクの目には星が映っているようだった。
「いいね。僕は大学に編入学するよ。もっと大きな街で、もっと難しいことや知らないことに挑戦したい」
「アレックスなら、バイト代わりに探偵もありかもな」
「それ面白そうだ! お互い、いつもポケットに謎解きを。なんてね」
僕とジェイクは、こんな切っ掛けを与えてくれたオリヴァーに感謝した。そして3人の友情を、想い出と共に大切にすると誓い合った。
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