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影鬼遊び
放課後の教室で、高校生三人の女子がだべっている。
全開に開け放った窓からは、広い校庭が見渡せる。
ひょいと目をやれば、校門までの道のりをチラホラと制服姿の生徒たちが行き交っており、部活動の掛け声も遠く近く響いて届く。
廊下からは、キーホルダーがシャラシャラと当たって立てる音や、女子生徒のはしゃぎ合う高い声。
夏休みまであともう少しだ。
「放課後もクーラー入れて欲しいなあ」
ぼやくマユミの机の上には、誰かが暇つぶしに持ってきたのであろう雑誌が開かれたまま放置されている。
サラは、他の席の椅子を寄せて足を組んで腰掛けており、たまに気分転換のようにそれのページをめくっていた。
「ミホ、生徒会室行かなくていいのー?冷房効いてるんじゃないのー?そっち行けばー」
「まぁまぁ、省エネだよ、エコ、ダイジ。コウキは、今日は生徒会ないんだってさ」
ミホは立ったまま腕を組んで、側の机に軽く寄りかかって半分だけ腰を掛けるようにして座っていた。
それぞれの半袖の制服からは日焼けし始めたばかりの腕が伸びていて、肘から先は上下にバタバタと大きく振られている。
皆、下敷きで首元あたりを思いきり仰いでいるからだ。
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