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影鬼遊び2
ああ、暑い。
動いていなくても、額に汗が浮かぶ。
髪の付け根が濡れる。
じりじりと、きらきらと。
だらだらとした、ありふれた時間。
これもまた、高校生って感じ。
と、ミホがぼんやり窓の外を眺めようとした時。
「こら、ミホ!机に座るんじゃない、降りろ!」
だらしがない、行儀が悪い、と、凛とした声が教室の入り口の方から投げつけられ、近づいてくる。
「コウキー!!会いに来てくれたの!?」
「ち、違う!いいからまずは机から降りろよ!」
違わない。
違うわけがない。
高校生万歳。
二年のコウキの教室から、一年のミホ達のクラスまではかなり遠い。
ミホは、どうにかこうにかあらゆる手を使ってやっとで彼氏へと迎えることが出来たコウキが、自分と帰宅する為にわざわざここまでやって来てくれたのだ、と思うと大袈裟にはしゃいで、すぐにその側へ行って抱き着いた。
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