初めからスタート

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初めからスタート

 三十数年の人生を突然死で終了した俺は、何故か異世界転生していた。赤ん坊から始まったので、言葉を喋れるようになり、自由行動が許されるまで三年かかった。  そして、他人からは見えないステータスで俺には変なスキルがあることが解った。  《コンティニュー》  ゲームで言うところのやり直しだ。残機は特に書かれていないので多分無限だと思いたい。  このスキル発動条件が死亡する直後で、死亡前の数日前からやり直しが可能らしい。何故らしいかは当然三年の間に一度も死亡していないからだが。  スキル以外にもMPが存在し、魔法が使えるみたいなのだが、如何せん前世では魔法なんか存在していなかったので使い方がさっぱりだ。  両親はMPが無く、魔法を使えないのに何故俺はMPが有るのかは謎だが、何時か使えたら良いな。  俺の暮らしは平民。貴族階級が有り、領主に税として畑で育てた食糧を納めている。豊かな土地なのか豊作なので残りを暮らしに当てられ、普通に幸せな生活だ。  五歳になった辺りで仕事を手伝うようになり、前世の知識チートを発揮してみようかと思ったが、不自由していないし、無理にひけらかして気味悪がられても嫌なので、大人しくしている。  十歳になった時、折角のMPが無駄になりそうだから、魔法学園に通わせて貰えないか相談してみた。  両親は俺に魔力(MP)が有ることを初めて知った様で、即座に領主へ報告に行ったくらいだ。  どうやら、領主にとって領地から魔力持ちが現れるのはかなりの幸運みたいで、もし魔法学園に入学出来て無事卒業出来た場合、なんと国から褒賞が与えられるのだとか。  そんなわけで、なんと入学試験に合格出来たのなら学費は免除され、更に納税まで免除してくれるらしい。  試験は毎年国で行われ、合格基準は魔法の発動が出来ること。そして、離れた的に当てられるかで判断されるとか。  年齢制限は十歳以上で有れば大丈夫な様で、過去には五十歳の新入生が居たらしい。  国に行くには馬車で数日かかり、試験期間は年初めから三ヶ月だそうだ。猶予的には一ヶ月と少しで魔法を一つだけでも覚えて、離れた場所の的に命中させられる様になる必要がある。  領主から魔法書を貸し与えて貰えたので、早速覚えられる魔法がないか確認した。  言語は日本語ではないが、何故か読めるし書ける。ステータスは日本語だし、スキルにも特に記載はない。異世界転生特典だと思うことにした。  魔法書には属性毎の魔法が存在し、適正の有る属性であれば詠唱で魔法が発動すると書かれていた。 「炎よ矢となり敵を打て、ファイヤアロー」  庭に出て、誰も居ない方向でやや上向きに手をかざして詠唱したが、発動はしなかった。  火、水、風、土、光、闇、様々な属性の魔法を詠唱してみたが駄目だった。あれ? 俺の適正属性って何さ。
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