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「さてと、じゃあ公爵様のお望み通り、ボクの存在を知ってしまった人をお掃除するね。記憶を奪う程度に留めればいい? 殺すならボクに頼む必要性はあまり感じないし」
「察しのいいやつは嫌いじゃないよ。いいこいいこ……。今回の対価のご所望は?」
「電撃が怖いボクのために、雷の追放を望んで欲しいな!」
「まだ慣れないのか。一緒に寝てやってもいいぞ?」
「やったー! じゃあ追放しなくていい──と言いたいところだけどやっぱり怖いから音消しだけ望んで!」
必要以上の対価をくれる貴方の側は思いの外居心地がいい。
もしもこの眼の力を自分のために使えたなら、ボクは消えない愛情を望んだだろう。
普通の人間であった頃の記憶は他人の記憶のように残り続け、その記憶のボクは紛れもなく、他でもないこの人からの愛情に餓えていた。
―了―
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