森錠のロックはキーが無くては開かない

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 決して喜ばしいとは言えない内容に対し、僕は思わず声を明るくしてしまった。  また、不快にさせたかもしれない。  不安を感じながらも彼の顔色を窺った。さほど気にするそぶりを見せない様子を見て幾分か安心する。 「旧友がいたとしても、もう忘れた。たった一人……宝物がいれば、それでいい」  ――もう寝なさい。  そう言われたかのように頭に乗せられた手は、どこか懐かしく感じた。  その手はこの手でないけれど、そんなことはもうどうでもいい。  僕には君しかいないように、君にも僕しかいなければいいのにと願いながら目を閉じる。  目が覚めたとき、また何かが抜け落ちていた。  その何かはわからない。  いいよ。  忘れるくらいなら、さほど大切なものではないだろうから。 ―了―
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