はじめに

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はじめに

 ここは雲の国。  そして、魔法の国だ。  この国は数多の魔法民族が暮らしている。  この国はかつて残虐な雲の一族、すなわち「雲族(くもぞく)」が何千、何万年と長い間支配していた。  当時、この国は大雲帝国(だいうんていこく)と呼ばれていた。  「雲族」は他の魔法民族全てを臣下におき、忠誠を誓わせた。それが出来ない民族を容赦なく根絶やしにした。  今もなお、「雲族」の悪行は雲の国で語り継がれている。  ところが、何千年も前の大昔に状況を打開するべく立ち上がった者たちが、「雲族」を滅ぼし、暗黒時代は幕を下ろす。 *****  新しい時代は、この国に自由と平等をもたらした。  新たなる王国は「雲の国」と名付けられた。  雲の国を治めているのは王と女王の二人。  君主が二人いることがこの国の平等性を象徴している。  王と女王が崩御した時、次の王と女王を決める。  雲の国は平等性を保つ為に、決まった王族がいない。  9~15歳までの国民は、次の王と女王になるための試練を受ける権利が平等に与えられる。  ただ、権利が与えられても、全員が試練に参加できるわけではない。  王と女王にそぐわない学力・魔力・品格がある者は、試練を受けることができない。  その基準は歴代の王・女王が決めていると言われているが詳細は誰もわからない。  参加権を得た者は王と女王を目指し、試練を乗り越えなくてはならない。  試練の内容は、単純である。  「平和の森」と呼ばれる全長千kmの広大な森の一番奥、雲の国の古城「旧キング・クイーン城」に一番初めに到達した男女が王と女王になる。  これはその"ファイト"と呼ばれる過酷な試練の物語である。
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