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リング「わたし、仲間いなかったら死んでた」
サジノスケ「俺も、12時に出発しようと思ってた」
ウラ「はい、アンタ達二人はリタイアか死んでましたー」
美里「二人とも、危なかったね」
ウラ「そんなことより、リング。交渉はどうしたのよ」
リング「あっ。12時スタートの話が衝撃過ぎて伝えるの忘れてた」
他の三人はズッコケた。リングは気まずそうにしている。本来の目的を完全に忘れて、ただシイと話して帰って来たのだ。
ウラ「何やってるのよ、時間がないのよ! あと15分で12時になるわ。あと3時間で必ず出発しないとなんだから。ビリになるわよ」
美里「ウラちゃん、大声出すとシイさんに聞こえちゃうよ」
リング「ごめん……。みんな」
ぐぅ~と誰かのお腹が鳴った。ウラが赤面した。
ウラ「早く説得してきて。と、言いたいところだけど、お昼にしましょう」
サジノスケ「そうしようぜ。最後の母ちゃんの飯、食わないとな。あ~あ、夜から何食って過ごすんだろうな。俺達」
四人は黙る。確かに、これからのファイトのことを考えると、いつも通りの生活ではなくなるため、先が思いやられ、不安になり空気が重くなる。
リング「でも、一人じゃないよ」
リングは明るい笑顔で三人を見た。重くなった空気が少し軽くなる。
美里「そうだよね。私たちは四人だもん。支えあおうね」
ウラ「四人じゃなくて五人になるわ。さ、リング。食べ終わったならシイを説得してきてね」
リングは再び、楓の木を登りに行った。相変わらず、シイは眠っていた。リングは大きく深呼吸をして気合を入れた。
リング「シイ君っ!!! 何度も起こしてごめん! 聞いてほしいことがあるの!」
気合が入り、つい大声が出る。シイは再び昼寝を邪魔され、不機嫌な様子で目を開けた。
シイ「……何だ」
リング「ファイトでわたしと組まない?」
シイは普段無表情で有名だが、そんな彼が初めて別の表情を見せた。黒曜石のような真っ黒い目が大きく開き、彼は呆れと驚きが混じった顔をしている。
シイ「お前はファイトを甘く見すぎ、だ。今のうちに棄権しろ。絶対にお前は”旧キング・クイーン城”にたどり着け、ない」
リング「ちょっとー」
リングが反論を述べようとしたが、シイは遮った。
シイ「ファイトに参加する者は、皆真剣に王や女王になりたいと考えている。今日までにそれ相応の努力をしてきて、いる。
今日の説明会でも、同盟を組むことは反則ではないが、必ず仲間割れを起こすと聞かなかったのか。
単独行動よりも有利なはずなのに、同盟を組むヤツらの方がリタイア率が高く、同盟組から王や女王になったヤツはいないと言って、いた。
12時スタートのことといい、同盟のことといい、お前は見通しが甘すぎる。そんないい加減なヤツと同盟を組む気は、ない。」
シイははっきりとリングの申し出を断った。しかし、リングはめげない。
リング「でも、説明の時に、異性は敵にならないから組んでも害はないって言ってたよ。それにもし、シイ君が大勢に襲われたときは一人より二人の方がいいんじゃ、ない?」
シイ「確かに、それはそうだな。だが、もし俺は同盟を組むなら、お前みたいなちんちくりんのいい加減なヤツより強い者の方がいい。わかったら、さっさとあっちへ行け。
それとだが、俺は例え強い女であっても同盟を組む気はない。一人で大勢と十分戦えるよう鍛錬してきたからな。一人で、いい。」
リング「本当に一人でいいんだ。シイ君は確かに強いもんね。じゃあ……その言葉、信じるよ!」
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