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「早矢!」
その声と同時に、シイの右肘の上を一本の矢がかすった。
ウラ「今のはわざと直撃させなかったのよ。そう、わざとね」
シイ「仲間がいるとは思わなかった。油断した。チャン・ウラ。何の用だ。まさか、お前まで手を組めというのか」
ウラ「ふん。勘違いしないで。春日シイ。仕方ないから、アンタと手を組んであげるのよ!」
シイ「断る」
?「チェック・ウィップー!」
ウラの背後からシイめがけ、黄色と黄緑のチェック柄のマフラーが鞭のように伸びてきた。しかし、軌道は大きく外れ、シイには当たらなかった。
シイ「残念だったな。雨原サジノスケ」
サジノスケ「ちぇっ。当たらなかったぞ! ま、まあ遠いせいか。よし、逃げるぞ!」
ウラ「アンタねぇ。魔力弱すぎ。もっとそのマフラーで特訓しなさいよ。そしてちゃっかり逃げようとするな!」
シイ「どうやらお前ら三人は組んでいるようだな。男女の比率を均等にするために俺を誘ったのか。だが、目の前の敵相手に言い争うようではチームワークの欠片もないな。俺はお前らと組む気は、ない。他を当たれ」
ウラ「そうやって余裕をかましているといいわ。あたしたちをなめないでよね! 行くわよ、リング! サジノスケ! フォーメーションA!」
ウラの指示のもと、二人は動いた。リングは右前方、サジノスケは左前方に移動する。三人でシイを取り囲む。そして、三人は誰の合図もないまま、同時に攻撃を開始する。
リング「リング・リング!」
ウラ「早矢!」
サジノスケ「チェック・ウィップ!」
三人の攻撃が到達する前にシイの強化した腕は地を割り、地中へと逃げられた。三人の攻撃同士が当たり、相殺しあってしまった。すかさずシイは割れた地の欠片を三人へと投げた。ウラは間一髪のところで避けたが、リングとサジノスケは直撃した。
リング「わあっ!」
サジノスケ「ぎゃあっ!」
ウラ「二人とも、大丈夫? 行くわよ! フォーメーションB!」
シイは次の攻撃に備え、地上へすぐに出た。リングは再び、天に向かって輪を最初の目くらましの二倍放出した。
リング「リング・リング!」
その場にいる全員がリングの放出する輪の光で目が眩んだ。
?「式神打擲!」
声と同時に水色の紙人形が多数出現し、シイに直撃した。シイは切り傷が多数刻まれた。目が光に慣れ、体制を整えると、目の前にはリング、ウラ、サジノスケ、美里の四人がいた。
四人はそれぞれシイめがけて攻撃する体制が整っていた。四方を囲まれ、シイは状況を理解した。
シイ「まさか、お前もいたとはな。佐野美里」
リング「シイ君、もう一度聞くけど、いいかな。」
シイ「これ以上の抵抗は無駄か……」
ウラ「そう。アンタが抵抗すればあたしたち四人が一斉に攻撃をしてアンタは大打撃を食らってファイトに参加できなくなるでしょうね。」
シイ「……言っておくが、お前らが足手まといだと判断した場合はすぐに見捨てるからな」
リング「それでもいいよ。だけど、絶対見捨てないよ。シイ君は」
シイ「それはどうかな」
サジノスケ「よっしゃー! 五人だぜ! 強いシイが味方なんて最高だーっ!痛ってて…」
美里「サジノスケ君、大変。怪我してる!リングちゃんにシイさんも。まずは手当てしに行きましょう」
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