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五人は保健室に向かい、怪我の手当てをした。リングのダメージが思ったより大きいのと、事あるごとにシイが脱走しようとするため、ウラが縄を何度も縛り直し、時間がかかった。
五人は、現在いる国の中央部からファイトの会場である”登竜門”がある東部へと向かいながら道中で作戦を練り直した。
ウラ「フォーメーションAとBはあのままでいい?」
シイ「アホか。またあの眩しい輪を見るのは御免、だ。俺らまで動けなくなるだろ。あと、この縄、解いてくれないか……」
シイの要望を無視し、ウラは彼を縄に繋いだままにした。まるで囚人のようだ。シイは不機嫌に黙り込む。リングは憐みの目で彼を見ている。そして、もっと可哀想なのはサジノスケだった。
サジノスケ「今15時20分だよ」
美里「えっ! 本当だ! どうしよう! まだやっと東部に入ったばかりなのに! ここから”平和の森”まで30分以上はかかるよ!」
リング「なんでもっと早く言ってくれないのよ! サジノスケーっ!」
サジノスケ「俺、ずっと『今何時だよ』って言ってたじゃん」
ウラ「ごめん、聞いてなかった。というか、もっと大きな声で言いなさいよ!」
サジノスケ「そんな~」
五人は走った。”登竜門”に着く頃には完全に息が上がっていた。五人はファイトの試験管にそれぞれの紋章を見せ、いよいよ門をくぐる。時刻は15時50分。なんとか五人は間に合った。
試験管の中にはランの姿があった。彼女は自分のクラスの教え子五人の背中を見送った。
「どうしよう、あの子たち。ビリだわ。大丈夫かしら」
リングたち五人は自分たちがビリでファイトに参加したことを知らない。
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