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一章
1
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。
在学中の高校のチャイムが鳴り響く中。僕は人通りの少ない公園のベンチに腰掛けていた。
「あーあ。サボっちゃったな」
僕はベンチに座って下を見ながらボケっとしていたが、チャイムの音を聞いて、諦めた様に空を見上げる。
「やっぱりサボっても何も変わんないよな」
平日の朝という事もあり人気の全く無いこの場所で、僕は伸び伸びと独り言を青い空に向かって吐き出していた。
「別に罪悪感がある訳でも無いし、楽しいかって言われるとそうでも無い……ただ」
空を見上げる事すら億劫になった僕は、人目を気にする事もなく朽ちた木製のベンチに寝転がる。
「つまんねーな」
決して学校に行けば面白いわけでは無いが、此処に居ても特に面白みの無い事を実感する。
「はぁーあ」
わざとため息を吐いて現常が不満だと自分に言い聞かせてみるが、寝転んでいる今が楽なのもまた事実で、そんな自分の姿を照らしてくる明るい空が嫌で、僕は逃げる様にスマホに手を伸ばす。
スマホを確認すると、そこには友人からの連絡が入っていて、表示されている通知画面には『寝坊してんのか』や『風邪?』だったりと、僕の事を心配しているのであろう文面が表示される。
そのメッセージを見ても、自分が少しの動揺もしていない事に我ながら呆れかえると、その通知を消してからスマホで時間を確認する。
すると、電子の数字は9:07と表示されていて、僕はその数字を見てもう一度ため息を吐く。
「はぁ……まだこの程度しか経ってないのかよ」
スマホを見るのも億劫になった僕は、スマホを右手に持ったまま腕の力だけを抜き、大きなあくびを漏らして目を閉じる。
そんな時、タイミングを計った様に、目を閉じても差してくる光が急に静かになって僕の顔に影を落とす。
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