花火

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ここは今はもうない国。ある山奥のトンネルを抜けた先にある国。その国では犯罪はありふれたもので誰もそれに口を挟まない。 「よし、じゃあこれから祭りを始めるぞ」 国の人は主に二つに分けられる。『被害人』と『加害人』だ。 この国の祭りはとても賑やかだ。一部の夜店では人身売買が行われている。 そして待ちに待った一大イベントがやってきた。それが今でいう『花火』だ。 その『花火』は今の『花火』とは全く違っていた。 昔の花火は形が崩れていた。形が崩れていたのは『花火』という文字だ。『花』という文字の草冠にある突起部分はなくなって下のほうへ移動して『死』という文字になり『火』という文字は棒人間のようなデザインだった。薄目で見たら『花火』に見えなくもない。きっとそれがイタリアに間違って伝わり今の花火ができたのだろう。 しかしこの事実は再び闇の中へ放り込まれた。 その頃の花火は人を打ち上げていたそうだ。
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