第三日〜昼〜

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雪話さんは向かいの競羽さんを横目で見やる。彼は相変わらず背もたれを酷使して揺れるシャンデリアを見上げていた。 「揺れてるシャンデリアって首吊りみたいだよなァ…どう思うよ薬師丸ゥ」と隣の薬師丸さんに呟やいている。薬師丸さんは心底居心地が悪そうに「あ、ああ……」とだけ言って目を逸らした。 「じゃ、ボクからってコトね」 才商さんは軽く咳払いして話し始めた。 「ボクが一番アヤシイと思ってるのは……美坂クン、キミだ」 メガネの奥の鋭い視線が美坂さんに向けられる。 「え、」 美坂さんは突然名指しされて次の言葉が紡げないでいる。 「次にアヤシイのが山田はじめクン、その次が薬師丸クンで、一番疑ってないのは雪話クンかな」 ああ、そう。俺もばっちり疑われてるって訳ね。 「理由はあるのかい?」 美坂さんがちょっと戸惑いながら言った。……なるほど。やはり彼は善意には慣れてるけど、悪意には慣れていないみたいだ。 「勿論だよ。」 才商さんは全く動じず堂々としている。……彼は美坂さんとは逆で、悪意に慣れているみたいだなぁとか邪推してしまう。彼は社長って話だったけど、どんな会社の社長なんだ? 「キミは山田クンを庇ったよね。や、それ自体は別に良いんだ。それで言ったら雪話クンの方が庇っていたしね。ただ雪話クンはキチンとした根拠があった。だがキミの庇った理由はゼンブ感情論だったじゃない?」 才商さんの言葉に美坂さんは過敏に反応して立ち上がりそうになる。やはり疑われること自体が嫌いなんだなぁ、この人は。 「で、でも山田君にかけられたその疑いは解かれたじゃないか。間違っていたのは貴方の方なのではないのかい」 「や、まあね。“その疑い”についてはボクも悪かったと思ってるよ。だけど、御廻クンは白だった訳だし、山田クンが黒の可能性は全然あるワケでしょ?」
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